夜と朝のあいだ

突然NU'ESTにズドンしたオタクのブログ

抱きしめられた「14歳のわたし」――NU'EST『The Nocturne』トレーラー感想

 始発を待つ3軒目の居酒屋、流れていく水のような話をしながら何駅分か歩く夜道、終電で集まって夜通しはしゃいだカラオケ、なんとなく引き延ばしてしまう日付が変わるころの電話、気心知れた人とのんびり過ごすワンルーム。いろいろな人といろいろな夜を過ごして、楽しかったり、大切にしたかったり、じれったかったり、妙に切なかったり、ひとつひとつ違う形をした夜がわたしの頭に眠っています。

 

 どれもこれも大事だけれど、一番大事に思っているのは、自室のベッドでひとり寝転がる夜。数えきれないほど繰り返した何の変哲もない時間です。長距離ドライバーを応援する深夜ラジオのパーソナリティの声に、見知らぬ運転手とトラック、どこかの高速道路を流れるヘッドライトを思い浮かべたり、ラジオも音楽も切って、ケータイやスマホも伏せて、自分の頭や心の中をじっくりゆっくり泳いでみたり、誰かとひそやかに話してみたり。何も強制されない、誰にも邪魔されない。『夜』という時間はわたしに自由を与えてくれる存在です。これは10代のころから変わっていません。

 

 中学2年生のころ、学校という場所にとんでもなく疲れていました。人間関係の難しさは、中学生になれば多かれ少なかれ誰しもが経験するものだと思います。例に漏れずわたしもぶつかりました。今になってみれば一点のシミのようなものでしたが、どうしてもしんどかったんですね。見える世界もたかが知れていましたから。人間関係に巻き込まれてしまう学校が我慢してまで行くべき場所には思えず、昼ごろから登校する日も少なくなかったです。

 

 親はわたしの考えを理解してくれていたどころか、むしろとりあえず学校に行けば何時でもいいと言ってくれたのですが、先生たちはそういうわけにもいきません。仕事だから仕方ないと頭ではわかっていながら、放っておいてほしいとしか思えなかったんですね。トイレでタバコを吸ったり授業妨害したりするわけでもなく、テストの成績も悪くない。何も迷惑をかけていないし、自分の心を守るための選択をしているだけなのに、何が悪いのかと。

 

 場所そのものと干渉してくる人たち。それらがすべて存在している『昼』は、当時のわたしにとってすごく窮屈な時間でした。昼に戻そうとしてくる人たちに対して、昼だけがこの世のすべてじゃないという幼い反発心もあったかもしれません。

 

 だからこそ、学校が閉じ、先生たちが何も言ってこない夜が輝いて見えました。気持ちが解放されるような気すらしていました。自室で過ごす夜という時間は、わたしにとって大切な『居場所』だったんです。

 それに、夜がつないでくれるものは昼よりも多かった。安心できる友達と一緒に学んだり談笑したりするのも、仲が良かった男の子と会ったりメールしたりするのも、同じアイドルを応援していることしかわからない相手と悩みを打ち明け合うのも、いろいろな感情が動くのも、全部夜だったんです。

 

 こうした経験があり、夜は眠るだけの時間じゃない。昼までの繋ぎじゃない。好きに思うままに動き、振る舞える、精神が最も自由になれる時間、昼よりもはっきりと、明確に「生きている」と言える時間だ。そんなふうに感じるようになりました。

 

「Night is the time you can dream, imagine, and sing anything.」

 

 今月11日に発売されるNU’ESTの新しいアルバム『The Nocturne』のトレーラーでこの一文に出合い、感動しました。それは、夜という時間への解釈がパズルで隣り合うピースのようにピタリとハマったような感じがしたから。

 きっと「the time you can dream」でこの文章が閉じられていたとしたら、正直そこまで心に入り込んでこなかったと思うんです。夜に夢を見るといったら眠っているときのことでしょうし、それは一般的な解釈と同じですもんね。(もちろん夢を見られるというのは素敵なことです)

 

 だけど、「想像したり歌を歌ったりすることができる」という文章も続きましたよね。これがとてもよかった。目を覚まして、頭や体を動かせる。想像したり歌ったり、好きなことをできる。ただ過ぎていくのではなく、過ごすことができる。眠るだけの時間として捉えていないことが自分の経験と重なり、とても共感できたんです。今よりも切実に夜を求めていた14歳のわたしを包み込んでくれる感覚すらありました。当時の自分を誰かに肯定してもらいたかったわけじゃないですが、ある種逃げてしまった時間を認めてもらえたような気がして涙が出ました。当時のような考えを持つ人はわたしだけじゃなかったんだと、心のどこかで安心したのかもしれません。

 

 今この瞬間も昼に悩んでいる人、昼をうまく生きられないと思っている人はいると思います。こんなふうに綴っているわたしだって、いつまた昼に悩むかわかりません。そうした人と対面したとき、うまく生きられないと思う時間でうまく生きていく方法、生きていけるように背中を押すことも大切なことでしょう。アイドルだとしたら、そちらの方法をとるのが一般的かもしれません。(日本ではとりわけそうした役割を求められている気もします)

 

 今回のNU’ESTは違いました。手を引いたり背中を押したりするのではなく、そうした人に寄り添おうとしている。昼を一生懸命生きなくてもいい。夜は居場所になりうる時間で、そこで生きたっていい。メジャーかマイナーかは関係なくて、自分が息をしやすい場所で息をすればいいんだ。そんなふうにも解釈できるメッセージを発したNU’ESTは優しいな、と思ったんです。優しいし、痛みを知っているんだなと。

 Sexy Zoneの『ぎゅっと』という曲にこんなフレーズがあります。「それでも夜は明けるけれど 君にとってはツラいんだろうな」。これは昼を生きるつらさを知っているからこそ生まれたフレーズだと思うのですが、上記の一文も同じだと感じています。トレーラーの文章を考えた人がどなたかも、どこまでメンバーが携わっているのかもわかりませんが、これにOKを出したNU’ESTの感性がとても素敵で、より一層好きになりました。

 

 一方で、昼を求めている人もいると思います。夜になると不安に思ったり怖くなったり、静かだからこそ飲み込まれそうな感覚があったり。思考の渦に巻き込まれることもあるかもしれません。また、夜は過ごすものではなく凌ぐものという人もいるでしょう。虐待を受けていたり、家庭内で不和があったり、雨風を防ぐことに必死だったり……。

 トレーラー自体は、さまざまな理由で夜が怖い人に向けたメッセージだと思っています。正直、先ほどまで書いてきた一文がとても自分の心に刺さっていて、そこ以外の部分についてしっかり解釈していないのですが……そう大きくは外れていないはず。いずれの解釈にしてもNU'ESTの優しさを感じられます。

 

 トレーラーがとても素敵なので未視聴の方いらっしゃればぜひご覧ください。各メンバー分+5人バージョンの計6本です。引用した一文は5人バージョンに登場します。

 

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 カムバまで1週間を切りました。コンセプトフォトやトラックリストも出て期待が高まる日々。オンラインファンミーティングなど日本向けの展開も始まり、ワクワクが止まりません!ミン鉄のオタクなので、ふたりが作詞した1曲目「Moon Dance」で一度天に召されると思います!!!!!!いずれの曲も聞くのが楽しみです!

 

■5月中にアルバムが欲しい方

NU'EST/The Nocturne: 8th Mini Album (No.1 Ver.) - TOWER RECORDS ONLINE

※アルバムは全4種

 

■日本向けの特典が気になる方

NU'EST 8th Mini Album『The Nocturne』Special Site

 

それでは!